令和3年11月後半の法語

すっかり寒くなり、冬の訪れを感じる今日この頃です。

ついこの間まで暖かい日が続いてたので忘れていましたが、早いものでもう11月も半ば、今年もあと一月半です。

一昔前は雪がちらついてもおかしくない時期ですから、寒くなるのも当然です。

先日は、当寺報恩講に多くの方がたにお参りいただき、親鸞聖人のご命日の法要を賑々しくお勤めすることができ、誠に喜ばしいことです。

さて、11月後半の法語は、報恩講の折に、ご講師が引用された石見の妙好人(真宗の篤信家)浅原才市(あさはら さいち)さんの言葉です。

 

風邪をひけば咳がでる 才市がご法義の 風邪をひいた 念仏の咳がでるでる

 

風邪をひいて咳がでるように、口からお念仏がこぼれてくる、という意味でしょうか。

才市さんがこの歌を詠んだのは、大正8(1919)年、69歳の時と聞いております。

その当時、世界では、今日の「新型コロナウイルス感染症」と同様に、「スペイン風邪」という感染症が猛威を振るっていました。

世界の人口の3分の1にあたる5億人が罹患し、2500万人が亡くなったと伝わります。

島根県出身の演出家島村抱月や、西郷隆盛の子である西郷寅之助、野口英世の母の野口シカなどが亡くなりました。

 

そうした中、才市さんも、スペイン風邪に罹患し、その時詠んだのがこの歌です。

才市さんは、その後回復されますが、咳が止まらない辛い状況であっても、お念仏のみ教えを忘れずに過ごされた姿には、ただただ頭が下がる思いです。

 

現在、コロナ禍ということで、様々な催しが中止や縮小を余儀なくされています。

お念仏のみ教えに遇わせていただく好機であるご法事も、ややもすればおざなりになってしまっています。

先行きが不透明なこんな時であればこそ、生活の中心に添えるべきものを誤ってはなりません。

阿弥陀さまは、そういった私たちを、広大なお慈悲で包んでくださり、私たちが進むべき道をお示しくださっています。

だからこそ、お念仏を唱える生活こそが、私たちの生活を豊かに実りのあるものにしてくれることを、ともどもに再確認していきたいものです。

 

 

13日 報恩講夜座

 

14日 報恩講お日中